企業同士の商取引において、たびたび耳にすることがある「支払いサイト」という言葉。
会社の経理や財務とは関係のない仕事に就いている方だと、初めて聞くという人も多いかも知れません。
この記事では以下のことについて、まとめています。
- 「支払いサイト」の意味や語源
- 支払いサイトの計算方法
- 支払いサイトと経営の関係
また、支払いサイトが合わないときにおすすめの資金調達方法についても紹介しています。
もくじ
支払いサイトとは?意味と語源
請求書の送付から入金までの期間
支払いサイトとは請求書を送ってから処理がされ、実際に入金するまでの期間のことを言います。
企業同士の取引では、私たち個人が商店で買い物をするようにその都度支払いをするのではなく、一か月分の請求をまとめて送り、支払いをしてもらう方法が一般的です。
一か月の日数は月によって異なりますので、月末締めで翌月末払いであれば支払いサイトは28~31日ということになります。
英語の「at sight」が語源
支払いサイトという言葉の語源は英語の「at sight」で、もともとは「即座に」という意味です。
この単語が何日後払いという使われ方をしたため、支払いサイトという言葉が定着しました。
ですが支払いサイトという意味で「at sight」を英語圏のビジネスマンに使っても意味が通じないようです。
支払いサイトを英語で伝える場合は、usance(ユーザンス)やterm of paymentという単語になります。
一般的な支払いサイトは30日、45日、60日など
一般的な支払いサイトは30日、45日、60日などです。
下請け法によって大企業と中小企業間の取引では最大でも60日以内に支払いをするように定められており、これを超えてしまうと法務的に問題になります。
支払いサイトは長くても60日ということになります。
支払いまでの期間が長いとお金がうまく回らなくなってしまうことがあるので、短ければ短いほど企業にとってはリスクが低くなります。
支払いサイトの計算で分かる会社のキャッシュフロー
支払いサイトの長さは企業活動に影響
支払いサイトの長さが企業活動に与える影響は、買い手側か売り手側かによって異なります。
企業の生産活動は材料を入荷して、サービスや商品を出荷することで成り立っています。
入荷にはお金がかかりますが、出荷後の支払いが遅く、支払いサイトが長ければ、入荷時にかかる支払いをしばらく負担しておかなくてはなりません。
つまり、買い手にとっては支払いサイトが長いほうが良いし、売り手側にとっては短いほうが有利といえます。
お金がうまく回らないと生産活動そのものに影響が出てしまうので、仕入れ債務回転率を意識しておく必要があります。
仕入れ債務回転率と計算方法
仕入れ債務回転率とは、仕入れ債務に占める売上原価の比率のことを指し、資金繰りを改善するための指標として利用できます。
で計算ができますが、売掛金や買掛金がない場合は債務が発生しないので計算はできません。
具体例としては、売上原価が1億で仕入れ債務残高が2000万円だった場合、仕入れ債務回転率は500%になります。
仕入れ債務回転率の適正な水準
仕入れ債務回転率の適正な水準は1200%以上とされており、これを下回っていると支払いの遅延のリスクが高まっていることがわかるので注意が必要です。
仕入れ債務回転月数や仕入れ債務回転日数も回転率と同じような役割を持つ経営指標です。
業態によって仕入れ債務回転率の適正水準は異なるとされており、この指標を計算することによって、どの程度問題なく経営を続けていけるかわかります。
40日以上になってしまう場合は遅延するリスクがあるので注意が必要です。
参照:仕入債務回転率とは・意味|創造と変革のMBA グロービス経営大学院
支払いサイトは英語で何と言う?
海外の会社と取引をする場合、支払いサイトを英語でどのように表現するか悩むことがあるかもしれません。
英語の場合はいくつか表現方法があるので覚えておきましょう。
「支払いまでの期間」を直訳したもの
「terms of payment」は直訳すれば支払いまでの期間という意味になります。
言うまでもなく「terms」は期間、「payment」は支払いを指します。
「payment site」も支払いサイトを直接英語にしたものです。
商業用の名詞「usance」
支払いサイトのことを指す商業用の名詞で「usance」という単語もあります。
これは手形の満期日までの期間や決済日という意味で、つまり売掛金が入金されて現金になるまでの期間のことを指します。
シッパーズユーザンスという言葉もあり、輸出者が輸入者のことを信頼して、一定期間支払いを待ってくれる仕組みのことです。
何度も取引をするような相手ではこうした取り決めが行われることがあります。
以下のページでは、手形とはどのようなものかについて、詳しく解説しています。
支払いサイトが合わない時はファクタリングで解決
ファクタリングは売掛債権の買取サービス
ファクタリングは売掛債権を専門業者が買い取ってくれるサービスで、短期的な資金繰り対策に向いています。
支払いサイトが企業の生産活動に合わずに、キャッシュフローが悪化した時に利用できるのがファクタリングです。
例えばキャッシュフローが悪化してしまうと、生産に必要な材料を購入するための資金や従業員の賃金、地代家賃などの支払いができない事態が起きてしまいます。
一度でも支払いを遅延してしまうと企業間や会社と従業員との信頼関係が崩れ、事業の存続が危ぶまれる可能性があるので支払い遅延は避けなくてはなりません。
ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングには手数料の支払いが必要で、銀行融資の利息と比較するとファクタリング手数料の方が割高となります。
しかしファクタリングは融資とは違って、すでに持っている債権の買取なので審査基準も甘く、赤字決算をしている会社でも利用することができます。
2社間取引と3社間取引がある
ファクタリングは買い取り業者と自社の2社間で行うものと、取引先を交えて3社間で行うものがあります。
3社間で行うものは手数料が安くなりますが、取引先に資金繰りが悪化していたことが分かってしまうのがデメリットです。
資金繰りの悪化を知られたくない企業は、2社間のファクタリングを利用すると良いでしょう。
2社間ファクタリングは売掛債権を早期に買取をしてもらって現金化できますが、本来の入金予定日に業者へ支払いをする仕組みになります。
そのため、再び資金が足りなくならないように調整しておく必要があります。
ファクタリングの仕組みやサービスの詳細については、こちらのページで詳しく解説しています。
2社間ファクタリングの方が早い
3社間ファクタリングの場合は契約に時間がかかってしまうので、急いでいるときには2社間を選んだほうが良いです。
また3社間の場合は、本来の入金予定日に取引先が業者へ支払いをするため、債権を現金化したあとは特にすることはありません。
ファクタリングには他にも帳簿上債務にならないことや、取引先の倒産リスクの軽減が行えるなどのメリットがあります。
以下の記事では、おすすめのファクタリング会社「ピーエムジー株式会社」について紹介しています。
⇒ PMG株式会社のファクタリングや口コミ・評判の紹介を見る
まとめ
支払いサイトとは、企業同士の取引で、請求書を送ってから実際に商品やサービスの代金が入金されるまでの期間のことを言います。
一般的な支払いサイトには30日、45日、60日といった期間のものがあります。
支払いサイトの長さは、企業の資金調達や従業員の賃金の支払いなど、各種の債務に大きく関わるものです。
支払いサイトの長さが会社の経営に合わない場合、業績が悪化するなどのリスクがありますが、そんな時の解決策として、売掛金の売買契約であるファクタリングがあります。
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